燃え尽き・・てられないけど
リサイタルから持ち帰った、楽器の片付けも佳境。今回も色んな楽器を用意し、また用意して頂きました。
これはフィッシャー作品のセット。左手に見える木は、サイズ(縦X横X厚さ)の指定があり、岐阜の加子母村で人伝に作製して頂いた木板。打ったり、擦ったり。
圭くんは、加子母で行われているRevolution Ensembleの音楽監督でもあるので、(共演する曲ではないにしろ)不思議なご縁。
右手に見える、3つ並んだお皿(陶器)は、音程の指定があり・・・常滑に向かって、音程を確かめながら選んで、製作者のご好意で、頂戴してきました。ちなみに作成者の方は「綾鷹」や「おーい、お茶」などのCMで使われている急須を作られている方だとか。。大事に使っております。
低いDの音だけ、どうしても見つからず、少し♯に近かったのですが・・上の2つはオクターブのF、ちゃんとそう聴こえた・・よね?
最後まで苦労して集めたのが、仏具のおりん。微分音と呼ばれる半音以下の音程差の指定があり、大須の仏具屋さんを何店舗も回って、最終的に全て揃ったのは本番の2日前。嫌な客ですよね、店舗に何個もおりん出させて、最終的に買わないとか・・
後から楽譜を手配してくださった先輩にお聞きしたところ、ヨーロッパでは音程をチューニングして(比較的安価で)くれるのだとか。(社会)勉強になりました・・
というわけで、後半の曲目。
川島さんの作品(本番中の写真が無い、のでGPで作曲者が動画を撮っている、の図)は、いつかリサイタルで取り上げたいと思っていました。当日の曲目解説(有田さん)が上手く導入してくださっていたと思いますが、この曲には、衣装の指定は無く(逆にそれ以外は全て楽譜に指定があり、アドリブ、というのは、ほとんどしていない、筈)初演の神田さんの演奏が素晴らしく(それでも楽譜が届いたのは初演数日前だったとか)、映像を拝見した時から
「・・・僕は、技術を衣装で、カバーする(=誤魔化す)しかない・・」
と、思っていました(爆)作曲者は喜んでくれていたようですので、まあよしとしよう。。
前回のブログで記した、ヘンツェ(※)の対極にあるような、楽器の編成は至ってシンプル。しかし、その中に散りばめられたアイディア(両手、足、口、動作)は数知れず・・頭がおかしくなりそうなコンビネーションの数々(右手で八分→三連符→十六分→五連符と推移しながら、左手では逆推移、口のホイッスルでは二拍三連をキープしながら、途中から右足で八分、などなど) 勿論アイディアだけじゃなく緻密に考えられており(音のアイディアだけの作曲家が如何に!多いことか) 例えば、あんなに色々やった音を出す側の道具(スティックetc..)最後には全て片付けます。小説の伏線のように(回収しないのは二流小説、買い溜めてる文藝春秋読まないと…)そういう所も含めて、僕はシンパシーを感じます。
上田での打ち上げで、オペラシティの方が、山下洋輔さんから伺ったという話
「デタラメ(即興)も、よく考えないと、気付けば一本調子になってしまうから、デタラメを弾き続けることは、容易ではない」と言っていたとのことですが、楽譜を見ていないお客様にはどう感じられたことでしょうか。付け髭はamazonで300円(爆)
リスコントロは、圭との演奏が、10年越しの夢だったので、叶ってよかった。東京公演の前に、福士先生にGPを聴いて頂いてからの本番、彼の最初の音の気合いの入り込みように、こっちも負けじと対峙したつもり。色んな方から御好評を頂き、わざわざウィーンから来てもらった甲斐がありました。次は、トリニダード・トバコで再演予定・・?
リスコントロで使う為に、神奈川県で受注生産して頂いた、波紋音(はもん)という、金属楽器。セットの中に組み込んでいました。福士先生も納得の素晴らしい音色。なんとも形容しがたい、音です。また、使う機会がありますことを・・
Wolkenstudie、今回の曲で、群を抜いて、苦労した曲。かなり前から準備し始めたつもりでしたが、本当に最後まで、苦悩、疲弊しました。正直、本番に納得は全然・・という感じ。これをARD
competitionで渡されてから、準備して本番に臨んだ受験者には頭がさがります(若いって素晴らしい)前回のリサイタルで取り上げた
nemeton(これは前回のARDの委嘱曲)を演奏中にも、似たような格好になってましたが・・オペラシティでは、客席が、舞台より低い位置だったので「並べてあった楽器が、あまり見えなくて残念」との声も頂きました。しかもこの曲は、5ヶ所に譜面台を置いての演奏だったので、余計に。またトライする本番、、作らないとかな。。
そして、本編最後の、人生初、委嘱作品。楽譜が届いたのが、本番○日前だったのは、さておいて。こちらが要望したことと、優人さんのティンパニに対するアイディア、想いが溢れる(中でも長すぎない)作品が出来上がってきました。練習していて、一番心が躍りました(もうちょっと、練習してから、本番に臨みたかった(笑))聴いている人には、分かり難い(報われない)ティンパニストが苦労する曲です。でも、上手くいくと、美しい。オペラシティでは、ホールの響きに大いに助けられました。
ちょっと観察すると分かることといえば、まず、最初は4台の端2つでのペダルの操作が必要です。身体が硬い人(=私)にはキツい開脚。勿論そこから音替えがあります(結構激しく)そして、持つマレットは4本(この作品は1人~4人までのアンサンブルも想定して書かれているので)途中にリムの演奏も挟んで、コラール、ポリフォニー、コーダという編成。そのうち市販される・・はず?世界中で再演されますことを。
アンコールのコラール。元より、優人さんには、「古典としての独奏作品が希少な打楽器(ティンパニ)なので、バッハに対するミッシングリンクとなるような作品を」とのお願いをしてあり、こちらからコラールを提示していました。選んだ名前がまた。導かれた気がしています。
2曲目のアンコールは、無理を言わせて頂き、それぞれの会場で変えました。上田であの曲を演奏することも、一つの夢でした。オペラシティでやった曲は、大学院の修了試験で演奏した曲。みどり先生に「懐かしかったわ」と言って頂き、ウレシハズカシ。燃え尽きました。
ロビーに出て、たくさんの応援して下さった方にご挨拶をして(出来なかった方、ごめんなさい)、裏に戻ると、大量の音大生達が。総動員で、楽器をまとめてくれて、オペラシティのスタッフが、番組収録の撤収にエレベーターを取られないように確保してくださり(一度そちらに行くと、1時間は足止めをくらうとのこと)奇跡の22時過ぎ撤収完了!「数は、力」という言葉が身に沁みた。。同級生がおさえてくれた会場で、プチ同期会(+優人さん)を終えて、全行程、終了。
(毎回、ですが、今回は特に)色んな方の支え、応援なくしては成り立たなかったリサイタル。ご迷惑をおかけした方も多々ですが、なんとか大きな事故もなく、終えることが出来て、また一つ、成長させてもらえました。嘘、偽りなく、感謝。来てくださった人の感想をいろいろ聞いて、自分の考えも整理して、また次のステージへ。
これで、リサイタルは、暫く弾き納め、、
と思いつつも、既に、新プロジェクトは幾つか動き出しており。。計画的に、悔いのないよう引き続き、頑張って行きたいと思います。勿論、主軸のオケマンとしての活動を中心に。
終わり!!
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